まみ めも

つむじまがりといわれます

桃尻娘

桃尻娘 (ポプラ文庫)
冬のボーナスがでたときに、思い切って久生十蘭全集のひとつめを買った。とても持ち歩けるような代物でなく、なかなかページをめくれないでいるが、急いで読んだところで忘れてしまうのだから苦にもならない。全集の月報に橋本治が寄稿していて、桃尻娘という小説のタイトルはジューランのなんかによるというエピソードを披歴していたので、読んでみたかったんである、桃尻娘。したら、ブックオフオンラインで安くみつけたので購買。たしか150円。ポプラ文庫。初出は1977年とのこと。

「高校生の私にだって、言いたいことはある!」女子高生・榊原玲奈のリアルな語りが話題となった、橋本治のデビュー作「桃尻娘」をはじめとするシリーズ第一部。著者自身が、「自分の原点」と呼び、愛する大河青春小説、待望の復刊。巻末に著者特別インタビュー「桃尻娘の意外なルーツ」を収録。

非常にまんが的なんだけれども、橋本治の言語センスが炸裂していてどうしたってまんがではこれはやれない。あんないかついおっさんが書いたとは思えないぐらい女子高校生(それも、ジョシコオコオセイって感じ)がみごとに憑依していて、軽薄なんだけどバカではないあたりのさじ加減が絶妙。女がいると皮下脂肪で空気が濁るだとか、新宿二丁目は夕陽まで紫色してみえるだとか、思わずわらっちゃう。まんがのような、散文詩のような、小説というのともちょっと違うような。八十年代に高校生やってたら、もっともっとおもしろく読めるにちがいない。あっという間に読み終わった。
うまれたあかんぼうは、毛がうすかった長男氏とはちがい、全身にうぶ毛をまとっているので、肌を撫ぜるとビロードみたいな感じをする。お猿さんみたいだなあと思いながらおっぱいを飲ませていたら、小学生ぐらいのころだと思うが、ワイドショーで、猿のあかんぼうに乳をやる中年のおばさんが出ていたのを思い出した。おばさんはこどもも乳を離れてずいぶん経つのに、親をなくした猿のあかんぼうをなんとかせねばならんという気持ちで乳を吸わせたら出るようになったといっていたが、なんというか、いま思い出してもすごい話だ。