まみ めも

つむじまがりといわれます

ハックルベリー・フィンの冒険

こどもたちが道みち摘んだたんぽぽを家に持ち帰り、水を入れたコップにつっこんで窓際においている。たんぽぽは陽射しがないとすぐにしぼんでしまうので、家のなかではほとんど花をひらかないままでそのうちすぼんだ先の黄色の花弁がまとまってポロリと落ちてふわふわしたわた毛が広がってくる。セイちゃんは朝になってわた毛になったたんぽぽをみて「しゅんかん見ちゃった!」と大興奮していた。

ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)

ハックルベリー・フィンの冒険〈上〉 (岩波文庫)

ハックルベリー・フィンの冒険 下 (岩波文庫 赤 311-6)

ハックルベリー・フィンの冒険 下 (岩波文庫 赤 311-6)

池澤夏樹の世界文学リミックスに取り上げられている作品を読みすすめていて、「オン・ザ・ロード」「キャッチャー・イン・ザ・ライ」に続いて逃げる男シリーズ。最初の逃げるアメリカ少年「ハックルベリー・フィンの冒険」を図書館で上下予約。わたしが生まれる前の岩波文庫の版で、上巻は表紙がめくれかかっていた。世界文学リミックスを読まなかったら一生手に取らないままだったと思う。地の文が話しことばになっていて(西田実いわくピチピチした漫談)、ハック少年のざっくばらんな思いがそのままスーッとしみこんでくる。

トムの冒険が現実を離れた空想の世界の冒険であるのに対して、ハックの冒険は常に現実の世界の中で起こる

と訳者の西田実が書いているように、ハックルベリー・フィンの冒険には生々しく荷の重い「くろんぼ」問題がついて回る。池澤夏樹が「ハックルベリー・フィンはほんといい奴だけどね」といっているとおりほんとうにいい奴で、頭をこんがらがせて迷いながら問題に立ち向かおうとする。トム・ソーヤは夢みがちすぎて現実では友だちになれなそうだけど、ハックとなら友だちになれそうな気がした。