まみ めも

つむじまがりといわれます

花火屋の大将

こどもたちを寝かしつけたあとで皿洗いを終えた宿六とぼんやりテレビをつけるのはNHKのことが多い。月曜はサラメシ。中井貴一のナレーションがいい。今週は沖縄の離島で美容室をやっている男のひとが、外で沖縄のひとと食べていた沖縄ちゃんぽんというどんぶり飯がとにかくおいしそうだった。スパムや野菜をざっと炒めて卵とじにしたのを平たく盛ったごはんにかけて食べる、そのざっかけなさ具合がたまらない。太陽光のしたで野菜と卵とスパムの色、おじさんたちの焼けた肌がまぶしかった。「著名人のサラメシ」は小松左京で、好んで通ったうな重のお店のおかみさんは、小松左京だということをあとから知ったらしかった。おかみさん、小松左京だとは知らなかったけど「なんか沈没するやつ」の映画をみにいったもん、と話していたのがおかしかった。

花火屋の大将

花火屋の大将

深夜食堂の勝手口」で丸谷才一「花火屋の大将」の引用があって、カレームというパリの路上においてけぼりにされた少年が一流の料理人になる話がおもしろく、図書館で予約をしたら、表紙が和田誠でもひとつうれしくなった。「花火屋の大将」というタイトルは、花火があがったときの、タマヤ〜やカギヤ〜にならって、

もしもこの本のどこかで、一ぺんでいい、
「マルヤ〜」
と心中ひくくつぶやいてもらへたら嬉しい。

という思いでつけたようだけれど、なんべんもマルヤ〜したくなるおもしろさだった。よくこんなにしつこく色々調べられるもんだなあ。やっぱりカレームのところに載っていた話で、リオネル・ポアラーヌというパン職人の話がよかった。デ・ニーロやダリ、カトリーヌ・ドヌーヴフランク・シナトラがご贔屓にするサン・ジェルマン・デ・プレのパン屋さんなのだが、お得意さんのダリがポアラーヌにパンで鳥かごを焼いてもらって、それに小鳥をいれたら小鳥がパンをかじって飛んでってしまったというエピソードの鮮やかさにうっとりした。