かまぼこの売り場がでかくなり、値段がえげつなく高いのを見ると歳の瀬を実感する。
忘年会にいく家族を送り出し、人の多いところには混じりたくないせいちゃんとふたりではま寿司。10日ぶりに外に出たせいちゃんは、人とすれ違うたびに背後にすっと隠れて気配をひそめていてさながらスパイの風情だったけれど、あさりの酒蒸しの汁を飲み干すころには周りのことは気にならない様子だった。
卜。
はじめての育児、コロナ禍。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。食と料理を通して、2018年から2022年を記録した、小説家・柚木麻子のエッセイ。『きょうの料理ビギナーズ』連載他を単行本化。
ちょっとやり過ぎ感のある柚木麻子の日々にどきどきしてしまったけれど、ご本人もなんでこのころこんなに必死にがんばっていたのかと振り返っていた。必死こいてる当時は筆致はあかるいけれど自己評価が低い。こんなのビギナーむけの雑誌にのってたら泣いちゃう。