どこにいったかと思った秋が、ちゃんとあってほっとする。中秋の名月の夜は、げんちゃんに「おつきさまみよう」と誘われて、寝る前にベランダに出て月をさがした。屋根のすきま、雲のむこうに月がぼんやりとしていて、げんちゃんが、でたでたつきが、と歌ってくれた。夕暮れがどんどん早くなるさみしさは、嫌いではない。
卜。
我らが隣人の犯罪 p5-66
この子誰の子 p67-100
サボテンの花 p101-134
祝・殺人 p135-178
気分は自殺志願 p179-229
隣人がいなくなり、隣家も取り壊して、家の片側が空き家になってしまった。外までの心的な距離が近く、心もとない。めったなことが起こりませんように。