まみ めも

つむじまがりといわれます

ラブシーンの言葉

ラブシーンの言葉 (新潮文庫)
埼玉から持ち込んだ最後の一冊。毎日すこしずつ湯舟に浸かって読んだ。全裸で読むラブシーンの数々。

ポルノ小説、投稿読者手記、ちょっとアヤしい通販カタログ。睦みあうからだとからだが奏でる愛の音楽を、たっぷりつめこんだ官能のことば。はしたなくて、恥ずかしくて、だから愉しい最新二百余点のサンプルを、現役現代詩作家が熟読玩味。絶頂間の高みへ読者を誘う創意あふれる表現に、にんまりしたり、びっくりしたり。人生の歓びをおおらかに肯定する官能文学ウォッチング。

あとがきによると「編集部にでかけ、性愛描写があると思われる本をもちかえり、選んで、淡々と紹介した」一冊。ブックオフでフーンと思ってなにげなく開いた目次のトップが「ヒコヒコの自転車」というタイトルで、そこでしてやられちゃった。千趣会の通販誌まで俎上にのせられて、「足まわり軽快」「フラットだからゴロつきなし」「すっぽり包んで、ひびきにくい一分丈」「バックレースでおしりがゴロゴロしない」というショーツの説明に対して、「いいな。なんか、楽しそうだな。感銘をうけた。」と言ってのける荒川洋治という人が一挙に気に入った。中学生男子のような想像力なんだけれども、ちっとも童貞臭いところがなく(童貞じゃないんだろうから当然といえば当然)、セックス描写を延々と読ませられながらも読後感が妙に爽やかなので可笑しい。アムールの国おフランスではおまんこをいうのに177語あるとか(温度計、財布、ワインボトルなど)、ちょっとしたお勉強もさせていただいた。