まみ めも

つむじまがりといわれます

バッファロー’66

バッファロー'66 [DVD]
おとついの風はものすごかった。玄関先においていた牛乳配達のボックスが消えたし、庭の植木が一本根こそぎ持ちあがって傾いてしまった。浮いた根のところに乗っかってみたが復する気配なし、風が吹くたびにぎいぎいと傾いて根が浮くので心もとないったらありゃしない。粘土質の地盤なので木の根が浅かったらしい。雨風がみごとなので外にはでないで風が居間の戸をがたがたいわすのをよそにバッファロー’66をみた。ふだんは硝子戸をとおしてくる日中の光で画面が逆光にちらちらして字幕を追いかけるのにすこし辟易するのを、この日は暴風雨で部屋のなかはずいぶん暗く字幕は読みよかった。おそろしげな空模様に非日常感が盛り上がる。
ヴィンセント・ギャロがだめな男をやった映画ということだけなんとなく知っていたが、まじでだめな男すぎてびっくり。尊大かつ卑小、威圧的なくせに自信はなく、妙に潔癖でナイーヴ、「道」にでてきたザンパノを思い出す。だめな男の類型。デニーズのトイレでめそめそやってるところではかなり苛ついてしまったが、あとからはっきりと童貞が知れてストンと腑に落ちた。最後は童貞キャラが一気に開花してポップに終了。童貞のくせに音楽も映像もこだわり満載おしゃれというところがいい。ヒロイン役のクリスティーナ・リッチはちんちくりんのむちむち、豚足みたいな脚をソーダ色のミニワンピースから惜しげもなくさらけ出し、ときにパンツが垣間見えたりするそのいけないもの具合も含めて童貞男の理想のマドンナを完璧に演じていた。モーテルでのベッドシーンは目を逸らしたくなるほど不器用でピュア。これは完全に童貞男の妄想映画(ただしおしゃれ)。モーテルのくだりを二度見。ホットチョコレートを飲みたくなった。ヴェリーホットなやつを。