- 作者: 向田邦子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1983/05
- メディア: 文庫
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向田邦子の小説ははじめて読んだ。生活感のありすぎる世界。悪阻のときに、世の中のにおいというにおいが総てリアリティをもって生身にずっしりうったえかけてきた感覚に似ている。さざえの壺焼きを爪楊枝で引きぬいたときに、先端部がずるりと出てきたときのよろこびとも嫌悪ともつきかねる気持ち。あの部分はなんだろうと、ふと今気になったので、調べたら、生殖腺だというんだからぎくりとした。生殖腺を引きずり出してよろこんでいたなんて、それこそ向田邦子が小説のなかで使いそうな話かもしれん。