- 作者: スタンダール,野崎歓
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/06
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- 作者: スタンダール,野崎歓
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なんとなくまとまった読み物をやりたくなり、義父の本棚から持ち出してきたスタンダールをひらく。野崎歓訳のあたらしいジュリヤン・ソレル。上巻、ありがちな貞節の人妻とナイーヴで打算的な家庭教師の不倫に終始するんでいらいらしたが、下巻で「自尊心の権化」マチルドが登場したらおもしろくなり、ラストは一挙にサロメ的展開をみせるのだった。マチルドは「わたしを好きな男なんて好きくない」というこじらせた中学生女子みたいな自尊心を全開にして気持ちのよいほどにツンデレし、悲劇的結末をこれほど健康的にやれる女はいないだろうとおもった。愛する男の首をかかえることでマチルドの恋は動かしがたいものとなり、その完全さにうたれてマチルドは究極のエクスタシーに到達する。世界のど真ん中に自分がいすわっているマチルドと、世界のど真ん中にジュリヤンがいすわっているレナール夫人、さいごにはこのふたりの恋と愛がぶつかり合い火花を散らしながら消えてった。