セイちゃんの通う保育園で保育参加というやつがあり、保護者が半日保育士をやるのだが、フクちゃんがいるのでわたしはいけない、それで宿六がいくことになった。おとうちゃんがほいくえんにいっしょにいくよ、と話をしたら、セイちゃんはよほどうれしい様子で、トーチャンがオイクエンにくるの!と一生懸命で繰り返していたが、蓋を開けてみればセイちゃんは案外ふだん通りで、いつもみんなにワンテンポおくれるのんびりぶりを発揮していたとのこと。おとなの男の人がよほどめずらしいのか、宿六は園児のハーレムを築いてきたらしい。お昼をたべて帰宅し、園児の食事では物足りない宿六とわたしはレバーペーストのサンドイッチ、セイちゃんも、チョットだけたべるの、というのでいちごジャムをパンに挟んでやる。午後は昼寝にみんなでベッドインしたが、フクちゃんと宿六が寝たそばで、わたしは本を読み、セイちゃんはコーフンして眠れんのか乗り物のおもちゃをかちゃかちゃやってひとりで遊んでいた。三時に起き出し、アップルパイに生クリームをホイップして、みんなで食べた。それから庭の草とりをしたり、セイちゃんは箒をかかえてはしゃぎ、ブランコを揺らし、風呂、ビーフシチューをチンした夕飯をすまし、いつもより早くにこどもたちは寝た。平和な一日。
- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/02
- メディア: 単行本
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