陰謀のセオリー

こないだフクちゃんを抱いて、セイちゃんと手をつないでイオンまで買い物にでたときに、路地でセイちゃんがはしゃいだ声をあげていたら、通り沿いの家の勝手口がものすごい勢いであいて、頭のつるっとした、白のジャージーの上下を着たいかついおじさんが顔を出した。なにごとかと思ったら、ニカッと笑い、おーおーおはよう、げんきだね、という、どうもセイちゃんの声につられて顔を出したらしかった。きょう、フクちゃんを連れて外歩きしており、ベビーカーのフクちゃんが号泣していたら、おなじ路地で、ごみ捨てしていた例のおじさんが、ものすごい勢いで駆け寄ってきて、おーおーそうなの泣いてるの、よちよちとあやしてくれるのだった。こどもがいなければ、挨拶もかわさないで、なんかエミネムみたいなけったいなおっさんだなあと思うだけだったとおもう。それが、エミネムみたいな、とってもチャーミングなおっさんだということがわかった。や、エミネムのことはなんも知らないが。

陰謀のセオリー [DVD]

宿六が録りためた映画があって、DVDに三十枚くらい、その中からひとつ見よう、といって、適当にえらんだのがこれだった。はじめは、マッチョなタクシードライバーのメル・ギブソンが支離滅裂な弾丸トークをやるのでデ・ニーロのあれみたいなのは勘弁と頭をかすめたが、CIAもFBIもござれ、緊張と弛緩のシーソーゲームに加えて白馬にまたがるジュリア・ロバーツに君の瞳に恋してる、ノリにノッてる展開にぐいぐいひきこまれてしまった。ひょっとしたらこの映画もプログラミングソフトなのかもしれない、本屋でライ麦畑でつかまえてを見つけたら買わずにいられないような気がしてきた。レジでピッとやってもらい、店の外に出て、空に消音ヘリがとんでたら猛ダッシュで逃げてやる。