まみ めも

つむじまがりといわれます

ゲイルズバーグの春を愛す

実家にきたものだから風呂ぐらいゆっくり浸かれるかと思いきや、そうは問屋が卸さない。フクちゃんは、来たなりの発熱で甘えがちになり、わたしがすこし立ちあがっただけでも脚にすがって泣く。セイちゃんも、わたしの膝もとが空いているとみるやすっと座り、だっこだっことせがむ。トイレにいる間、風呂に先にはいってからだを洗い、セイちゃんをいれている間、ずっとフクちゃんの号泣が風呂場まできこえる。そのくせ、寝かしつけに蒲団につれていくと脱走をはかり、襖をあけ、猫のフーちゃんを匍匐前進で尾行して、なぜかセイちゃんまで一緒になってふたりして陸上自衛隊ごっこをやっている。そこで、見えなくなったすきに、頭まですっぽり蒲団にもぐりこみ、息をひそめていると、心配になったセイちゃんがそろそろと戻ってくるので、蒲団からにょきと顔をだしてやると安心したのを隠すように照れ笑いしている。そして、心細くなったフクちゃんがあとから甘えた泣き声をあげて這ってくる。

ゲイルズバーグの春を愛す (I Love Galesburg in the Spring-Time)
悪の魔力 (Love, Your Magic Spell is Everwhere)
クルーエット夫妻の家 (Where the Cluetts Are)
おい、こっちをむけ! (Hey, Look At Me!)
もう一人の大統領候補 (A Possible Candidate for the Presidency)
独房ファンタジア (Prison Legend)
時に境界なし (Time Has No Boundaries)
大胆不敵な気球乗り (The Intrepid Aeronaut)
コイン・コレクション (The Coin Collector)
愛の手紙 (The Love Letter)
川本三郎の鉄道本で知ったのを図書館で予約。気の利いたファンタジーだけれど、気の利かせかたに、隠し味をふんだんに駆使した完成形の料理をたべさせられているような若干の重荷感があるのだった。うまくまとまり過ぎていて、こちらの出る幕がなさすぎる。こっちで好きなように麺つゆでも味の素でもかけて微調整させてくれるような、閉じていない物語を、いまは読みたいらしい。