まみ めも

つむじまがりといわれます

つゆ草

火曜日、フクちゃんを慣らし保育におまかせして、セイちゃんと電車に乗る。京浜東北線で上野まで、公園口につくと義母が手を振って待っていた。セイちゃんが動物園にいくときは声をかけてね、といわれていた。セイちゃんのサーヴィス・デーのつもり。10時前の動物園は空いていて、パンダものんびりと見られた。パンダのぬいぐるみのまえに三人ならんで記念撮影し、歴代パンダの写真いりの切手シートを買ってもらう。モノレールに乗って一周し、レストランでお昼、セイちゃんはお子様カレープレートにパンダ・サンデーとかいうソフトクリームにパンダのチョコレートがのったおやつも平らげた。いよいよフクちゃんのお迎えに駅に戻ろうという段になってセイちゃんが駄々をこねくりまわし、あるけない、ベビーカーものらない、いやだいやだを連発、足元にすがりつくのを引きずり、あるいはベビーカーに無理やり乗せ、泣きわめくに任せて駅までいく。お巡りさんにタイホされるぞと脅してみたり、おいていくといって降ろしてみたり、ドーナツを食べようとなだめてみたり、あの手この手が一向に効き目なく、どうなるかと案じていたが、ふとした拍子に憑き物がとれたようにケロリと泣きやみ、電車ではおとなしく窓外を眺めていた。フクちゃんをひろって帰宅。夜は義母が用意してくれたお鮨といちご大福。動物園、ホッキョクグマの展示がよかった。目の前の水にざぶんと飛び込んで悠々と泳ぐシロクマ、毛並みが春の日差しにきらきらと輝いて、うつくしかった。セイちゃんに、どうぶつえん、なにがよかった、ときくと、ゾウさんと、キリンさんと、おうまさん(シマウマ)と答える。おっとりしたセイちゃんらしい答えでよろしい。またいつか、どうぶつえん、いこうね、と寝床で話した。

つゆ草 (1977年)

つゆ草 (1977年)

ある娼婦の独白
つゆ草
花火
夕雲
結婚
ふっつ・とみうら
墓まいり
尾崎一雄
貧困旅行記川崎長太郎のふっつ・とみうらにまつわる家族旅行をしていた。ふっつ・とみうらという平仮名の羅列のもの悲しさに妙に惹かれて図書館で予約。川崎長太郎というひとを名前も知らなかったが、私小説を書いたひとらしく、つゆ草は、年代順にそれを追うことができる短編集。読んでみると、インポテンツ小説としか呼べないような、悲哀漂うふにゃチン具合だった。