きのうの夕立はすごかった。いまにも泣き出しそうに堪えている空をにらみながらの帰り道、駅をでて、みんな傘をさしてないのにほっとしながら山下達郎をきいていたら、まわりのひとたちが急に、早送りのボタンでも押したみたいに走り出すのと、大粒の雨がばらっとおちてくるのと、同時だった。街が一気に活気をおびて、びしょ濡れになった女子高生もスーツのサラリーマンもみんななかばたのしんでいるように雨に悪態をついていた。いつもの八百屋にかけこみ、いもや豆を買い込みながらどしゃ降りをやり過ごし、小止みしたところでセイちゃんとフクちゃんをピックアップしてキャーキャーいいながら家に帰り、大相撲をみてひと息ついてから物干し場をみたらぐっしょりと洗濯物が重量感を増していた。どしゃ降りはどこかしらエンタメ感も否めない。わりとすっきりした気分で洗濯物を洗濯機に戻した。
- 作者: 吉行淳之介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1994/09
- メディア: 新書
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
宇宙という無辺際の空間の向うに、また別の無辺際の宇宙に似たものがあり、これを仮にア宙と名付けるとすると、ア宙のとなりにイ宙があり、そのまたとなりにわれわれの宇宙があり、またまたとなりにエ宙があり、それぞれが無辺際だと話して聞かされているときの心持ちに似ている。
と書いている。うちの宿六は、イオンから戻ってくる途中にある坂で、ピンクに光るUFOをみて、真っ白装束にぐっしょりオールバックの少年と話したというが、その話をきいたときの途方ないかんじが、わたしにとっての宇宙だったりする。