まみ めも

つむじまがりといわれます

ゴッドファーザー

フクちゃんが不意打ちのように早起きをしてくれる。朝方、ふと気づいたらベッドの足元でうずくまるようにしているので、やや、これではベッドから落ちかねない、と思ってひっぱりあげたら、目を覚まし、泣き出してしまった。しばらく抱いて歩きまわったが、ウトウトしても、ベッドに寝かせると泣き出すので、あきらめて、したの部屋におりた。背中にくくりつけたら少しおとなしくしたので、弁当にミートローフとレタスをはさんだサンドイッチをつくり、背中からおろし、遊ばせたりおやつを与えたりしながら夕飯のしたく。あさりをボールにあけて塩水につけておく。ほかの下ごしらえをしながらのぞくと、水の中でべろをたらんと伸ばしていて、貝の砂抜きのときの、この、しーんとした透明な気持ちはなんだろう。台所が、海の底にあるみたい。玉ねぎとにんにくを炒めたところにめばるをじゅうじゅうやって、あさりとトマトとバジル、酒、蓋をして、あさりが口をぱかっと開いたときに、なんだかほっとしてしまう。海底から浮上。インスタントコーヒーをちびちび飲んで、フクちゃんのおしめをかえて、庭の水やりもすませたところで、セイちゃんが起きて階段のうえから呼ぶので、朝のおしっこをさせて、着替え、台所にステップをもってきて、いちごのへたとり、バナナをむくのを一緒にやって、フルーツにパンにヨーグルトにジュース、六時半には朝ごはん。その日は一日半覚半醒のフワフワした軽快さがあった。

ゴッドファーザー [DVD]

ゴッドファーザー [DVD]

宿六の録りためたライブラリからゴッドファーザーをみる。欲望という名の列車のマーロン・ブランドゴッドファーザーをやっている。「欲望」ではぶちぎれる演技がすごかったが、こちらは淡々と水面下で煮えたぎる感情がひしひしと緊張をあおって、ちびりそうな感じ。絶対かかわりたくないと思いながらおちていくあり地獄みたいなやばいセクシーさがある。映画も、なんでもないシーンにいちいち緊張感がみなぎって、そうかと思うと、ゴッドファーザーの死の場面なんか、死の予感をくちなしの匂いのようにぷんぷん匂わせる詩情にあふれて、たまらん気持ちがした。アル・パチーノも、ナイーヴな青年が芯を太くしていく感じがうつくしかった。またとない映画。