オフィシャルな飲み会があるので、豚肉と人参しめじを赤ワインにケチャップ、ソース、醤油にバルサミコ酢で煮こんだハヤシライスを鍋いっぱいに作っておき、セイちゃんにこんこんといい含めておいた。セイちゃん、お父ちゃんとフクちゃんとさん人でお風呂とごはんしてね、お父ちゃんたいへんだからね、よい子できる?ときくと、ウン、ぼくガンバルからおかあちゃんいってらっしゃい、とびっくりするほどこころよく送り出してくれた。宿六にお迎えからすべてまかして、仕事あがり、駅ビルをぶらつき、服をふたつ買い、すこし道に迷ってから居酒屋にはいる。居酒屋の空気はいかにも娑婆の味という感じがして、すーはーすーはーしたくなる。くじ引きの席次も上々。ビールをじゃんじゃん飲んで、おもいっきり羽根をのばし、酔っぱらった帰り道、雨あがり夜の公園のしめった空気と、イヤフォンからきこえる山下達郎のねちっこい透明な歌声が、隙間なくわたしのまわりをうずめていく。家に帰ったら、こどもたちはぐっすりねむり、かたづけも完璧、風呂がわかしてあるというサーヴィスまであり、久しぶりに湯につかり、林芙美子をぺらぺらやったが、いい加減で酔っぱらっていたので、次の朝、どこまで読んだかあやふやする、その感覚がなつかしい。セイちゃんが、おかあちゃんおそいからしんぱい、と話していたことを、朝の遊歩道できいた。すこしてれくさい。
- 作者: 黒柳徹子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1984/04/15
- メディア: 文庫
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