土曜日、航空公園の野外ステージで音楽イベントがあって、友人家族に誘われてでかけていった。乗り換えを三回もやるのだが、線路萌えのセイちゃんは終始ご機嫌で窓外を眺め、武蔵野線が鉄橋をわたるところでは、汽車ぽっぽの、てっきょうだ、てっきょうだ、たのしいな、をリフレーンするのに、盛り上がってどんどん声のボリュームを大きくするので、何度かしーっと声をかけなければならんかった。駅で友人たちと落ち合い、イベント会場で唐揚げ飯とトマトと胡瓜をビールで流し込んだが、会話がままならん音量だったので、外にでて、わきの芝生にシートをひろげることにした。コンビニに買い出しにいってもらい、グリーンラベルを飲みつつ、こどもたちは芝生のうえに放たれ、音楽がよそ事のようにきこえてくる。こどもが生まれて以来、音楽はすっかりオプションになっちゃったなあ。芝生からいきれがむっとして、ビールがうまい。フクちゃんはそのうち寝た。五時過ぎ、応援団よろしくどんどんドラムを鳴らす曽我部バンドの音に押し出されるように駅にむかう。フクちゃんは眼をさましておとなしくしていたが、乗り換えの途中の往来で一度吐き、それから家につくまでに五回ほどもどした。泣くでもなく、ぼんやりしているが、なんとなくバギーにのせておけなくて、だっこしていたものだから、ふたりでゲロまみれになってしまった。たまたま、朝、セイちゃんに選んでもらったワンピースが、汚れの目立たないまだらな柄のワンピースだったので、たすかった。家についたらまっすぐ浴室に入り、シャワーを浴びてさっぱりした。フクちゃんはばてただけだったのか、よくわからないが、月曜の昼にセイちゃん、夕にフクちゃんが、順番に熱をだし、結局きょうまで仕事にいけないでいる。
- 作者: 伊丹十三
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/06/26
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