まみ めも

つむじまがりといわれます

狂人日記

秋口に家族で次々とはやり目をやった。フクちゃんが先鋒で、保育園に入れなくなったので、一緒に休んだが、家にとじこもるうっぷんがお互いに溜まり、昼寝のあとで外の空気を吸いに出かけた。近所のブックオフを定点観測にでかけたが、フクちゃんはアウトドアがお好みらしく、ベビーカーでわあわあ泣き出す、しかたないのでいつもの棚の前をゆっくりと進んで、一冊だけ目に留まったのを買ってきた。105円。色川武大はよく知らないが、函いりの単行本で、中身にハトロン紙がかけてあるのが、なんだか特別な感じがしてうれしい。読むときは、ハトロン紙ががさがさまどろっこしいので、はがして鞄につっこんだ。

狂人日記 (福武文庫)

狂人日記 (福武文庫)

そもそもどういう内容のものか知らなかったので、はじめは色川武大自身の精神病棟入院記かとおもったが、幻覚にくさい息を吹きかけてやっつけたり、カードにそれぞれ相撲とりの人格を付与して番付をつくったりする神様ごっこが出てきたところで、おもしろさよりも凄まじさに耐えられずネットで検索したら、狂人日記自体は創作だけれども神様ごっこは実体験だったので足元をすくわれる感じがした。自分の立っているところが、正気なのか、狂気なのか、地割れして世界が裂けていくようなぐらぐらした危うさを起こさせる本で、やばいやばいと思いながら読んだ。この凄まじさはちょっとあぶない中毒性があり、色川武大の本は、また読んでみたい気がする。