休みの日の朝は、空模様をみていそいそと毛布や布団をベランダに干す。こどもたちが昼寝するお昼どきに取り込むので、そのときにちょうど陽があたる角度をかんがえて、そこに毛布を干しておくと、ふかふかになっている。それから、取り込んだあとの空いたスペースに洗濯物をうつし、そちらも日が暮れてつめたくなる前にせっせと取り込む。関東の冬の陽射しは、ちょっと北陸育ちには考えられなくて、上京したての三月に、外に洗濯物が干してあるのをみて母親と笑ったものだったが、わたしも今やすっかり太平洋側の冬に慣れてしまい、洗濯物を真冬の外におっぽり出している。それでも陽射しのありがたさは身に沁みるもんで、宿六は、ほっとかれて冷たくなった洗濯物も、乾いてるから同じだというのだが、なんだかその感覚はとても貴族的だ。北陸育ちの友達が、あの陰鬱な冬の気候のせいで根暗になってしまったと自虐的につぶやいていたが、わたしも太平洋側で育ったらこれほど卑屈ではなかったかもしれない。でも、あのつめたく長く暗い陰鬱な冬のある一日、奇跡のように太陽があらわれて、田んぼの向こうに白山がそびえているあの景色の神々しさは、北陸の冬を暮らしたものにしかわからんのではないかと思う。関東の冬には富士山があるが、いつでも見えるせいかみんなもったいない風もなく、知らん顔しているように見える。
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