まみ めも

つむじまがりといわれます

仕事ばんざい

この間の週末は鎌倉から義母がきて、みんなでデパートに出かけた。年の瀬にデパートにでかけ、買い物をし、レストランで食事をするのが、クリスマスプレゼントのつもりであるらしい。タクシーでデパートに乗りつけ、宿六はスーツやなんやを揃え、その隙にこどもの服を選ぶ。こどもたちが飽きてきたのでレストランに入り、こどもはお子様ランチ、わたしはレストランではついついオムライスを選んでしまう。とろとろの黄色いまるい卵をみていると、森茉莉ではないがとても幸せな気分がする。それからこどもたちは玩具コーナーで遊ばせることにして、わたしの服を選びにでかけたが、デパートの服というものを久しく選ばないので、試着するまえから気後れしてしまう。もはやなにも似合う気がしないで、ちょっと帰りたくなりかけたが、本当にシンプルな服を誂えている店があったので、そこで、ワンピースを一枚、買ってもらった。なんでもないコール天のワンピースだが、丈がすこしだけ長いので、恥ずかしくもなく、そのなんでもなさがなんでもないわたしに丁度良いようで、気に入った。なんでもないくせにもったいなくて着られない。こういう、なんでもない印象に残らないような服だけを、何枚かそろえて、あの人はいつも同じような服を着ているな、と思われたいのだけれど、なかなかそういう風にできずにいる。

仕事ばんざい―ランベルト君の徒弟日記

仕事ばんざい―ランベルト君の徒弟日記

荒川洋治の「日記をつける」で紹介されていたのを図書館で予約。フィレンツェので徒弟暮らしをはじめたランベルト少年の素朴な日記。巻末におじさんになったランベルトくんの近影。フィレンツェは、はたらきはじめた年に、宿六とあれよあれよという感じでするすると結婚することになり、はじめてふたりででかけた海外旅行で訪れたが、黄金色の光がやさしく溢れる街で、ガイドブックで見るより断然よかったっけ。
ランベルト君の日記は、おかあさんから、読み書きを忘れないように、と言われてつけ始めたものだが、実際の頁の写真を見ると、丁寧な文字で、几帳面につけられている。内容は淡々としているが、その中に純粋な仕事のよろこびがあふれていて、まさしく仕事ばんざい。
「今のところ僕は店に行くのがいつもとても楽しいけれど、もう少し仕事ができたらもっとうれしいだろうと思う」
「うれしくて、とても満足で、早く月曜日になればいいと思いながら家に帰った」
簡単な日記だったので一日で読み終えてしまったけれど、胸のなかを爽やかなグリーンの風が通った。