火曜の午後に雪が降って、翌朝は門が凍りついてあかなくなった。セイちゃんは遊歩道の脇、草の上に残るわずかな雪を探しながら踏んで歩く。埼玉の雪は、水分の多い重たい雪で、たいして積りもしないのに長く残る。解けるというよりは、凍りついたものが、風化していくように少しずつ、乾燥した空気に削られていくみたいだ。北陸では雪が近づくと雷が鳴って、暗く重たい雲がひろがり、しんしんと冷えたが、関東の雪には明るさと軽さがある。梅も咲いているし、こころの片隅に春がある感じ。きょう、また雪になり、ずっと降り続いている。咳がでて、なんとなく寒いような、パブロンを飲んで、億劫なのでパジャマのまま過ごしている。パブロンは、噛むようにして苦味をあじわうのが好き。
- 作者: 川本三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/10/29
- メディア: 文庫
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城山三郎には「もう、君には頼まない」という本があって、ブックオフで見かけるたびに人知れず傷ついている。