まみ めも

つむじまがりといわれます

あ・うん

月曜は何か月ぶりかで持病の通院。正午きっかりにPCの電源をおとし、昼の往来にでる。やたらあたたかい日で、厚地のウールのコートがだんだん持ち重りする天気だった。いつもの通り、最寄りの駅までいき、カフェオレを飲みながらエッセイを読み、病院で受付と採血を済ませ、結果が出るまでの一時間を近くのブックオフでつぶす。俵万智俵万智のハイテク日記」と宮脇俊三最長片道切符の旅 取材ノート」の二冊。まずまずの収穫。診察は事もなし。スーパーマーケットでおでんに入れるフランクフルトを買って帰り、洗濯を取り込み、こどもの迎え。宿六の帰りが早かったので、駅前まで迎えに出た。セイちゃん、途中でおしっこが我慢できなくなり、ファミリーマートのトイレを借りた。

あ・うん (文春文庫)

あ・うん (文春文庫)

鎌倉の家には、リビングの奥にうなぎの寝床みたいな細長い義父の書斎があって、行くたびにそこから何冊か借りてくる。少し取りにくいところに向田邦子松本清張をみつけて、椅子の上に立ち上がり背伸びして手に取る。お借りします、と声をかけたら、それは全部ヨーコ(義母)のだといわれた。たしかに義父に向田邦子は似合わない。
あ・うん、は、ある家族の肖像を描いた小説だが、向田邦子の人物描写のリアルさはやっぱり物凄い。活字のうえに息づく人間たち、息のにおいがむずむずしてくるようだ。向田邦子がみんなの上にあたたかい視線をそそいでいるのがよくわかった。前は、本を読むときには、ことばの選び方や、そのビート感に気分よくなったものだったが、中年になって、フツーのことばで、フツーのことを書いてあるなかにいろんなことを感じられるようになったし、フツーのひとたちをいとしいと思うようになった。いとしいが増えるのはいいことだと思う。