入梅。さすが、雨が降るとあじさいが映える。遊歩道にはいろんな種類のあじさいが植わっていて、いたるところで花火が弾けているみたい。あじさいがなかったら、梅雨はもっとやりきれないだろうなあ。昔はあじさいなんて凡庸な花だと思っていたが、その凡庸さがどんどんよくなる。あじさいの中でも、一番ふつうの、手まり型に咲いているようなのが、 とてもいい。歳をとるとオーソドックスなものに回帰していくのかもしれない。
- 作者: サリンジャー,野崎孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1974/12/24
- メディア: 文庫
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拡げればどこまででも拡がってゆきそうな話でありながら、それでいて持ち運びが可能な本質を持っているのだ。いつでも家へ持って帰って、それを、たとえば湯につかった後で、浴槽の湯を落しながらでも思い浮かべてみることができるのである。