まみ めも

つむじまがりといわれます

家族狂

今年の秋はぶどうに恵まれて、あっちこっちから都合十房はくだらない。皮ごと食べられるたねなしのもあれば、皮がかたくてたねも入っているのもあるし、木漏れ日みたいな淡いグリーンのマスカット、紫からグラデーションになっているのもある。毎朝、粒をまな板の上にならべて、皮をむき、半分に割ってたねを出す作業は、ちまちまとしてたのしい。ぶどうのフォルムと色のうつくしさ。先週の木曜日あたりから、ぶどうをいじくる指先に冷たさがしみてくる。ちょうど窓の外が朝焼けに染まっていく時間で、いよいよ秋もまんなかあたりかなと思った。

家族狂―横尾忠則Collection 中毒 (横尾忠則Collection中毒)

家族狂―横尾忠則Collection 中毒 (横尾忠則Collection中毒)

「芸術ウソつかない」で横尾忠則が娘の横尾美美と対談しているなかで、毎年家族写真だけは撮っていて、それを本にまとめて出版した話がでていたので、図書館の蔵書検索で予約。みんなで服は統一したほうがいいのか、ばらばらでもいいのか、色々迷走したらしいのが写真からも伝わってくる。精一杯の作り笑いでおさめる年一回の写真撮影によって、家族を確認しているようなとこがあったとのこと。横尾忠則によれば、家族構成も宇宙の原理原則に従った必然性によるらしい。スピリチュアルなことを言い出す横尾忠則がなんだかすごく好きなので、いいなあと思った。こういう後半は時代もメンバーもあれこれ入れ替えたコラージュのようになっており、極めつけに平安時代の母だという瀬戸内寂聴と、安土桃山時代の兄だという三島由紀夫に挟まれた横尾忠則がうつっていて、絵面がすごいことになっていた。