まみ めも

つむじまがりといわれます

戦場のメリークリスマス

里帰りも残り一週間になり、土曜の夜は近くの親戚を呼んで宴会をした。総勢22人で賑やかだった。足元の覚束ないばあちゃんも杖をついてきてくれた。ふーたんが泣いたので、抱きあげると、手を膝のうえにひろげて、おいでおいで、という、そこにのせるときに、ばあちゃんの口からにおいがした。13年前、じいちゃんが死ぬ前の夏休みに、入院している病院にお見舞いにいったときに、じいちゃんの口臭がにおったことを思い出す。におい自体はすぐに忘れてしまうけれど、口臭をかいだことはずっと忘れない気がする。もっと、覚えておくべきことはほかにもたくさんありそうなのに、記憶のひだに垢のように残っていくのはディテールばかりで、だれに話すでもなく、わたしの頭のなかでだけいとしい形にまるまっていく。

戦場のメリークリスマス [DVD]

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大島渚の有名すぎるタイトルだけれど、みたことがなかった。いろんな人のいろんな感情が交錯しあい、曼荼羅のような、どこに焦点をあてればよいのかわからないほどのもろもろの感情が押し寄せるのだけれど、どれも押しつけがましくないのでよかった。ビートたけしの演技力のなさがすばらしい。この映画にはオスカー・ワイルドのことばがぴったりするほどに、表面的で象徴的で、いかようにもみれてしまう。
「すべて芸術は表面的であり、しかも象徴的である」
「芸術が映しだすものは、人生を観る人間であって、人生そのものではない」