まみ めも

つむじまがりといわれます

オールド・テロリスト

忌引きで三日間の休みを取り、月曜は少しだけのんびりする。ブックオフで本を三冊買った。
ねこに未来はない/長田弘
おやじ弁当/杉作
たたずまいの研究/神吉拓郎
長田弘と杉作は200円、神吉拓郎は108円。
ふとしたときにばあちゃんのことを思い出す。腰が曲がって横向きでしか眠れなかったのに、死んだばあちゃんは布団に仰向けにまっすぐに寝かされていた。お葬式の終わった夜は近くにごはんを食べにいき、帰りに家のそばの川のふちをのぞいた。蛍が草むらにいるけれども、肌寒い日なので舞わなかった。満月があかるくて、蛍の光がよく見えない。月明かりに惑わされながらほのかに草むらの中に光っているのがいじましい。ばあちゃんが怒ったところをみたことがなかったという話をしたら、おかあさんもやっぱり怒ったところを知らないという。怒ったことはないけれど厳しかった。ばあちゃんは実はすごいひとだったと思う。会いにいくと、帰り、かならず見えなくなるまで手を振っていたっけ。畑から曲がった腰をおこしてこちらをみたときの佇まい、声、いまはまだ頭のなかで再生できる。ばあちゃんの声はきっともう誰かの頭のなか以外のどこにも残っていないだろう。ちょっとだけ涙ぐんでしまうときがある。
きみがいないことは きみがいることだなぁ
本当だなぁと思いながら聞く。

オールド・テロリスト

オールド・テロリスト

義父の書斎本。

怒れる老人たち、粛々と暴走す! 経済の衰退した近未来の東京。「満州国の人間」を自称する謎の老人たちが、次々に凄惨なテロを仕掛け始めるが…。『文藝春秋』掲載に加筆し単行本化。

村上春樹が「10人が読んで1人でもいいと言ってくれればいい」という姿勢に対して、村上龍は「10人が読んで10人ともいいと言わないと腹が立つ」らしいのだけれど、まさしくそういう小説で、ぐいぐい読まされてしまった。主人公同様、考えることを奪われて途方にくれる。