まみ めも

つむじまがりといわれます

猫のエルは

いなかから届いた荷物の中にガッツ石松みたいなかたまりがあって、加賀の丸いもだった。ぬるつくのを皮をむき、おろし、手を真っ赤にかゆくしながら、だしと生卵を混ぜて、たっぷりのとろろができた。まずは、白ごはんにかけて。次は、そばにかけて、ずるずるすする。おいしい。みんなおかわりをした。その夜からフーちゃんの体にポツポツがひろがり、とろろのかぶれにしては広がるなと訝しんでいたら、かぶれではなく、りんご病だった。真っ赤なほっぺがめんこくて、りんごのほっぺこちゃん、と呼んでいる。

猫のエルは

猫のエルは

ト。

でもそれでいいのだ。いったん死んでこの世に帰還したエルは、生きてるだけで儲けだから。表題作ほか、全部で5つの猫の物語を、町田康の文章とヒグチユウコの絵で贈る。
諧話会議
猫とねずみのともぐらし
ココア
猫のエルは
とりあえずこのままいこう

町田康の犬猫シリーズは、読まずにはいられない。エッセイかなとおもったらシュールなおとぎ話だった。