まみ めも

つむじまがりといわれます

わたしが行ったさびしい町

歯医者の予約が平日にしか取れないので、なけなしの有給休暇を取得。これからの自分にもやもやと思うところがあったのだけれど、同期の男の子がいいタイミングで背中を押してくれ、資格試験に挑戦しようという気になった。とにもかくにも学会に登録せねばならず郵便局で諭吉一枚を払い込む。図書館と八百屋にいき、バナナとりんごをぶら下げて歯医者へ。奥歯にできた虫歯を、キュインキュイン、ぎゅるぎゅる、ぴ、ぴ、と手を替え品を替えでやってもらった。

わたしが行ったさびしい町

わたしが行ったさびしい町

 

ト。「さみしい」で検索したら出てこなかった。松浦寿輝は「さびしい」なのだな。川上未映子は「さみしい」の印象。淋しい熱帯魚は、さびしいなのか、さみしいなのか。

泡粒のように浮かんできては消えてゆく旅先の記憶。ペスカーラ、名瀬、シャトー=シノン、台南、トラステヴェレ、コネマラ、タクナ、長春、中軽井沢……。日常を離れた旅の途上で、人は凝り固まってしまっていた観念や思い込みを脱ぎ捨て、心も躯も身軽になる。こんな時代だからこそ読みたい、活字で旅する極上の20篇。

ナイアガラ・フォールズ
ペスカーラ
イポー
名瀬
ヴィル=ダヴレー
ニャウンシュエ
タクナ
上野
シャトー=シノン
長春
上田
台南
コネマラ
パリ十五区
江華島
トラステヴェレ
アガディール
ドーチェスター
中軽井沢
夢のなかで行った町
あとがき

どこにもいけないかわりに本の中でいろんなところへ行き、借り物のさびしさを思う存分味わった。