まみ めも

つむじまがりといわれます

たべるのがおそい vol.1

しばらく前にげんちゃんにめがねをぐねられて、歪んだ視界のままごまかしていたけれど、やっとめがね屋に行くことができた。めがねをはずして度なしのめがねを試着すると自分の顔が見えないくらいに視力がないので、家族に選んでもらう。丸いめがねと四角いめがね。どちらも度入りにしたとたんびん底になってしまう。割増料金を最大限に詰め込んだ最薄のレンズなのにかなりぶ厚い。いつまでたっても自分に似合うものがぴんと来ない。

ト。

編集 西崎憲
装幀・装画 片岡好

小説と翻訳と短歌を中心にした文学ムック
「たべるのがおそい」はじまります

わたしたちは誰もが重力というものに支配されています。

「たべるのがおそい」は、その重力を少し弱めてみたいと思っています。

読んでいるあいだ、少し動きやすく、歩きやすい、

それがこの一風変わったタイトルの文学誌の目標です。

西崎憲
 
 
2016年4月中旬全国書店にて発売。
執筆陣

巻頭エッセイ
「文と場所/夢の中の町」 穂村 弘 

創作
「あひる」 今村 夏子 
「バベル・タワー」 円城 塔 
「日本のランチあるいは田舎の魔女」 西崎 憲 
「静かな夜」 藤野 可織 

翻訳
「再開」 ケリー・ルース 岸本 佐知子訳 
コーリング・ユー」 イ・シンジョ 和田 景子訳 

短歌
「はばたく、まばたく」 大森 静佳
「桃カルピスと砂肝」 木下 龍也
「ひきのばされた時間の将棋」 堂園 昌彦
「ルカ」 服部 真里子
「東京に素直」 平岡 直子

特集〈本がなければ生きていけない〉
「虚構こそ、わが人生」 日下 三蔵
Dead or alive?」 佐藤 弓生
「楽園」 瀧井 朝世
「ただ本がない生活は想像のむこう側にも思い浮かばず」 米光 一成

あひるを読むのは三回目だと思うけれど、きれいさっぱり忘れている自分がいっそ清々しい。