まみ めも

つむじまがりといわれます

ほろよい読書

夏休みに実家から車で持ち帰ったまるのままの冬瓜を切って、下茹でして、煮た。冬瓜の皮はまわりに薄っすらとしたとげをまとっていて、むいているときに力の加減が狂って親指をざっくり切ってしまう。しばらく眺めているとじわじわと血が滲み、冬瓜の白を朱色に染めた。皮とワタを取るとあっけないほど小さくなり、煮たあとは透き通った淡い色に染まる。冷蔵庫で冷たくしたのを口に入れるときんと歯にしみるくせに舌でつぶせるほどにやわらかくて溶けるようにして喉に流れていく。実体と概念のあわいのような食べ物だと思う。八百屋に並ぶ冬瓜は存在感に迫力があり手を出せなかったけれど、怖くないことがわかったのでこれから毎年煮たい。

ト。

ショコラと秘密は彼女に香る 織守 きょうや

初恋ソーダ 坂井 希久子

醸造学科の宇一くん 額賀 澪

定食屋「雑」 原田 ひ香

barきりんぐみ 柚木 麻子

いつも加減がわからずビールをぐびっといってしまうので、二段とばしの酔いになってほろよいのフェーズはほとんど存在しない。ちいさなグラスに瓶ビールを傾けるような飲み方に憧れながら、迷わずに生ビール(大)を注文している。そのうち落ち着いて階段をのぼり、ほろよいの段で立ち止まってみたい。