まみ めも

つむじまがりといわれます

インセプション

インセプション [DVD]

主人公のドム・コブは、人の夢(潜在意識)に入り込むことでアイディアを“盗み取る”特殊な企業スパイ。そんな彼に、強大な権力を持つ大企業のトップのサイトーが仕事を依頼してきた。依頼内容はライバル会社の解体と、それを社長の息子ロバートにさせるようアイディアを“植えつける(インセプション)”ことだった。極めて困難かつ危険な内容に一度は断るものの、妻モル殺害の容疑をかけられ子供に会えずにいるコブは、犯罪歴の抹消を条件に仕事を引き受けた。
古くからコブと共に仕事をしてきた相棒のアーサー、夢の世界を構築する「設計士」のアリアドネ、他人になりすましターゲットの思考を誘導する「偽装師」のイームス、夢の世界を安定させる鎮静剤を作る「調合師」のユスフをメンバーに加えた6人で作戦を決行。首尾よくロバートの夢の中に潜入したコブ達だったが、直後に手練の兵士たちによって襲撃を受けてしまう。これはロバートが企業スパイに備えて潜在意識の防護訓練を受けており、護衛部隊を夢の中に投影させていた為であった。インセプション成功の為に更に深い階層の夢へと侵入していくコブたち。次々と襲い来るロバートの護衛部隊に加え、コブの罪悪感から生み出されたモルまでもが妨害を始めた。さらに曖昧になる夢と現実の狭間、迫り来るタイムリミット、果たしてインセプションは成功するのか。

ウーン、いまいち。複数人で夢を共有して潜在意識にはたらきかけるというのはおもしろいんだろうし、夢のなかの夢のなかの…というような層構造がゆくゆくは夢と現実をあいまいにしてしまうというのも、ナットクなんだけど、つまるところ、つまんなかった。たとえば、漱石夢十夜だとか、百間の豹だとか、ひとの夢の話はほんとうにおもしろい。他人そのひとの閉じたワールドである世界、それをこっちで脳内再現してトリップするのがおもしろく、しかもチョット途方なくてちびりそうになる感じがたまらない。映画では、映像に非日常さが足りなくて夢ワールドが生々しいのもいただけないと思ったし(映像化という手法の限界なのかもしれない)、そのせいなのか、ちびりそうなぐらいのアウェイ感が、なかった。
ひとの夢の話をきくのも好きだけれども(夢ではないらしいが、ユーフォーを見ているときにびしょ濡れのまっしろいオールバックの少年に出会った話だとか、薄っぺらいおっさんが窓のところからひらひら部屋に入ってきたという話も、途方なくてぞわぞわしてしまう)、ねているひとが眼球をチラチラうごかしているさま、夢をみているらしい、その夢のさまを勝手にむくむく想像して、けっして及ばないだろうけれども、わくわくすこしおそろしい。