いつのまにか六月で、入梅していた。遊歩道のあたりをぴょんぴょんしていた鳥が、かわいらしいので、調べたら、むくどりというらしい。名前をおぼえると愛着がまして、こころのなかで、むく、むく、と呼びかけてみたいのに、雨のせいかここのところ見かけない。そのかわり、薔薇が盛りになって、図書館にいく途中の中学校で通り沿いにいろんな種類が咲き誇っている。木札に、プリンセス・ミチコ、サハラ、コクテール、なんとかロンサール、名前を覚えてやりたいような、でもちっとも頭に沁みてこないで、眺めている。そこらのあじさいもだんだんに色づいて、わたしはあじさいに色んな形のものがあることをここ数年まで知らんかった、まあるく咲くのもあるし、まわりだけ咲いてまんなかは残ってる思わせぶりなのもあるし、柏葉あじさいは、巫女さんがもってるしゃんしゃん鳴らすやつみたい。くもり空のしたにいろんな花火がはじけている。ここ数年で、あじさいが急に好きになった。花火も、そうだけれど、ふつうの、なんでもないまるいやつが一番いいな、と思うようになった。としをくったのだと思う。
- 作者: 十返肇
- 出版社/メーカー: 現代社
- 発売日: 1956
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
私は女房を一度もなぐったことはないが、女房になぐられたことはある。そのとき、たいへん痛かった。とてもオレにはそんな力がないと思い、以来、いっそう私は平和を好む人間になった。
わたしもむかしは飛び蹴りをくらわしたことがあったような気がする。なつかしい。いまやそんな元気はない。