まみ めも

つむじまがりといわれます

林芙美子 巴里の恋

フクちゃんが五時起きして、ねないので、フライパンでベーコンを油なしでじわじわやったところに卵をおとし、黄身を菜箸でつついて、へらでまとめ、レタスとマヨネーズと一緒トーストににはさんで、ラップにくるんだのを、お昼にもっていく。それから朝食のしたく。わが家はパンとフルーツとヨーグルトだけの朝食なので、フルーツを切って茶碗にいれるだけ。この日はバナナとオレンジとキウイフルーツとブルーベリーで、キウイのへたを落とすときに、つい親指の先も落としてしまい、キウイはけちけちと薄く落としたのに、じぶんの皮は気前よくやってしまい、みるみるうちに血が滲んで、そんなときに、フルーツやまな板が血に染まらないようにと焦っている自分を見つめている客体の自分と、指先のじんじんする輪郭がはっきりみえるような痛みの感覚。絆創膏が苦手なので、早々にとっぱらったが、三日たっても、トマトや玉ねぎの汁がしみてくる。指先で酸味を味わっている感じが新しくておもしろい。

たまたま、読んだ本に立て続けで林芙美子ののんべえ談がでてきて、文壇散歩では「彼女がドテラ姿で酒を飲んでいるのは風情があった」とあったし、うちの宿六には「台所の隅っこで発見したいかの塩辛に、レモンの皮をすりおろしてかけ、汁も一緒に注いで出すと、芙美子さんは非常に気に入って、それから毎度これを所望するようになりました。僅かの漬物や塩辛で、一升壜を傍に置き、長い間かかって恍惚と酒を楽しんでいる姿は、全く婦人には珍しく、」とあった。おかげで無性に林芙美子を読みたくなって、ついでにドテラに一升瓶とレモン塩辛もやりたい気がしたが、そっちはとりあえず、本だけ借りてきた。巴里に外遊した林芙美子の出納帳と日記、夫へあてた手紙、気の多い芙美子がふわふわと刹那的な恋に身をまかせていく軽薄な若さがかわいらしい。

私は此男には少しまいつてゐるが、参る気持ちは素的だ。只それだけでいいのではないか、彼には妻君あり、私には愛する夫があるに、

こんだけあからさまなのはかえって気持ちがいいもんだ。そして次々といろんな男に参っていく。いやいや、振り回された男たちこそ参っちゃったにちがいない。