オリエント急行殺人事件

乗り換えの駅の通路に、セレクトショップが並んでいて、そのポスターに知った顔があるような気がして二度見したら、高校の同級生だった。大学に入り、モデルになり、いまはファッションブロガーで、ラジオのナビゲーターなんかもやっていて、思えば高校生のころから、いつも光の中にいる女の子だった。あのころは十代に特有のはずんだ体をしていて、修学旅行の浴場で、湯船のなかを無邪気に泳いでみせて、まるいしろいお尻が薄暗い湯屋にぽっかり浮かんで見えた、あのつるんとした白さ。まみちゃん、好きだとおもうよ、と、ピチカートファイブのCDを貸してくれたっけ。きみみたいにきれいな女の子。ぼくは、君になりたい。

オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

イスタンブールからロンドンへ、夜行列車のなかで起きた殺人事件を、乗り合わせた探偵が解決していくストーリー。名探偵エルキュール・ポアロ役はアルバート・フィニー。癖のある役柄で、映画にぴりっとスパイスをきかせている。007スカイフォールで、スカイフォールの番人もやっとったらしいが、癖のある役柄がはまりすぎて、ポアロ以外の姿がちょっと思い描けない。執事のベドウズ役ジョン・ギールグッドはミスター・アーサーでもやっぱり執事役。ショーン・コネリーにイングリッド・バーグマン。わたしはひとの顔を覚えるのが惨めレベルで苦手なので、ちっともわからないが、こういうのは宿六が教えてくれる。オリエント急行の車両は動作する状態で保存されているとのこと。急行能登や寝台列車の北陸で帰省したのが懐かしい。北陸に乗ったときは、おなかの中にセイちゃんがいたのだった。どちらももう事実上は運行していないが、夜行列車や寝台列車のもつ旅情の感じは格別で、目的地に降り立ったときの、はるばるきたなという感慨は、代え難いものがあった。