まみ めも

つむじまがりといわれます

男性作法

月曜の朝、いつもと同じ時間にフクちゃんと家を出た。東西に視界のひらけた往来にでたら、珍しく街の底に靄が佇んでいる。そういえば、育った町では海が近いせいか、夏の早朝にはよく朝靄が出ていたっけ。フクちゃんを保育園に預け、駅までひとりで歩きながら、イヤフォンを耳につっこんで、シガーロスをきく。駅までの十分たらずのあいだに、靄は朝陽にぬぐわれて、駅のホームに立ったら線路のむこうがくっきりと見えた。いくつかの路線が靄で遅れているというアナウンスが流れていた。シャワーを浴びたあとのように、わけもなく新しい気持ち。

男性作法 (旺文社文庫)

男性作法 (旺文社文庫)

近所のブックオフで105円。世の男性諸氏にむけたお作法の本。わたしはおばさんだけれども、どちらかというと中身はおっさんに近いので、おじさんの作法を知っておいても損はないだろう。江國節が随所に振るわれていて、あー、とにかくわたしはこういう偏屈のおっさんが好きなのだ。結婚式のスピーチはぐだぐだ凡庸で長ったらしいのがいいだとか、礼服は着こなしてはならないだとか、非常時は、何はなくとも娘たちを真っ先に持ち出し、妻はけっして持ち出してはならないなんて書いているので、本を読みながら思わず吹き出してしまった。