まみ めも

つむじまがりといわれます

谷崎潤一郎犯罪小説集

金曜にいった代官山のレストランのトイレの個室に、馬の絵が飾ってあって、みてみると、隣の個室にも、洗面台のうしろにも、おなじ人の、やっぱり馬の絵があった。馬は青や緑で、本当にはそんな色の馬はいないが、世界のどこかにはそんな馬がいると思わせてくれるような、夢のなかで出会ったような本当さで、キャンバスの中にある色のすくなさも気に入った。サインのところを写真でうつして、酔いがさめたあとで解読作業をして、そのうち、アンドレ・ブラジリエという人の絵だとわかった。画像検索をすると、やっぱり馬の絵をたくさん描いていて、馬でない絵もあるが、馬の絵がいいなあ。いつか、歳とって、持ち物もどんどん少なくして、ヒヤシンスハウスみたいなこじんまりした家に暮らすことができたら、壁にひとつ飾る絵はアンドレ・ブラジリエの馬の絵がいいなあと、いまは思う。

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎犯罪小説集 (集英社文庫)

柳湯の事件
途上

白昼鬼語
途上、私、白昼鬼語は、なんとなく読んだ覚えがあったが、そもそもタニザキの犯罪小説集というのを読んだ記憶があるようなないような具合なので、全部読んだことがあったかもしれない。ブックオフで108円。梅雨のじめじめと陰気な空模様と谷崎潤一郎のねちっこく耽美的な文章とが混じり合って、腐りかけの肉のとろけるような危ういうまさ。もちろんいただきますとも。