まみ めも

つむじまがりといわれます

旬のスケッチブック

土曜が結婚記念日で、なんとなく記念日は我が家はオムライスということになっている。フライパンにいっぱいのケチャップライスを炒めて、目玉焼きをのせた。オムライスをたべると、記念日が無事に迎えられたという感じでホッとする。五年前は、ちょうど休みの日で、区役所に届けを出したあとで、宿六のおばあちゃんの命日で墓参りにいった。とても暑い日だったのを覚えている。今年は日曜に初蝉をきいた。だんだん夏が濃くなってきた。月曜の夜は、宿六がガーベラを贈ってくれた。ピンクと黄色と白のガーベラが二輪ずつ。わたしが、ガーベラの花を好きだといったら、毎年プレゼントしてくれる。ガーベラだとか枇杷の実だとか、うぶげを生やしたものは、なぜだかいじらしい。女の人で、口もとにうぶげを生やしているひともなんだか好ましい。むかし、ノンノで見開きに大きく広末涼子の顔がうつっていて、口もとにうぶげが見えて、それがとてもよかった。あの写真はとっておけばよかったなと十年近くたった今でもときどき思い出す。

旬のスケッチブック (角川文庫)

旬のスケッチブック (角川文庫)

ブックオフで108円。
一月 大根
二月 チョコレート
三月 菜の花
四月 新キャベツ
五月 いちご
六月 青梅
七月 トマト
八月 氷
九月 きのこ
十月 牡蠣
十一月 落ち葉
十二月 ケーキ
俵万智がことばを料理して旬をとらえた一冊。サラダ記念日は七月六日だけれど、実際においしいといわれたのは唐揚げだし、七月六日でもなかったことを俵万智自身がTwitterで言っていた。七月のトマトを題材にした俵万智の短歌は、
親は子を育ててきたと言うけれど勝手に赤い畑のトマト
陽の中に君と分けあうはつなつのトマト確かな薄皮を持つ
とあって、旬のスケッチブックのなかでも、「ハートの薄皮も、高温の情熱をくぐりぬけてはじめて、やさしくつるんと剥かれるのかもしれない」なんてことが書いてあって、わけもなくひとりで照れる。こういうことを臆面もなく言えてしまう万智ちゃんは、愛されて育った人なのだなあと思う。わたしは薄皮といわず、皮がぶちっとはじけるようなちょっとかためのトマトがいい。ひやしたプチトマトのはじける瞬間をいくらでも噛み締めたい。恋愛も、たしかな薄皮があるような時期が旬なんだろうなあ。