連休は夏祭りがあった。お神輿の出る前日は宵祭りといって、焼いたとうもろこしをもらったり、おみくじをひいて景品が出たり、輪投げやじゃんけんをやってアイスクリームとジュースをもらい、スーパーボールすくいがあるというささやかなもの。スーパーボールのテントに入ったところで夕立がきて、慌てて帰った。その日のお風呂は湯舟にスーパーボールをたくさん浮かべて、鼻の頭に汗をかいていつまでも遊んでいた。
翌日はお神輿をひくので、こどもたちははっぴを着込んで、意気高揚、町内をぐるり一周するのに、途中でゼリーが出たり、ジョアを飲んだり、かき氷をかじったりする。フクちゃんはどうだろうと思ったが、一度靴が脱げて抱っこした以外は手をつないで懸命に縄をひき、「ウレシイ」「ウレシイ」と笑顔を見せていた。ふたりのワッショイの声を箱詰めにしてとっておきたかった。フクちゃんはふだん歩かない距離を歩き、暑かったので、休み休みとはいえ最後は足元がふらついて、なんだかこっちが涙が出そうだった。セイちゃんも最後まで歩いた。みんな汗だくで、帰ってはっぴを脱がしぬるめのお湯でシャワーを浴びた。夕飯は、お祭りの夜なので、サーモンをのせたちらし寿司と、ポテトフライを揚げて、人参しりしりとズッキーニのマリネ、プチトマトとスープ。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1980/11
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