まみ めも

つむじまがりといわれます

風にそよぐ草

1日冷房をいれなかった。こどもたちが空き地で遊んでいるのを眺めていたら、草むらで跳ねるのはコオロギで、田んぼは稲を実らせ、とんぼがツイツイととんでいる。朝ごはんのあとで梨をむく。肩をたたかれて振り向くと秋の気配で、ドキッとする。いつもこっそり背後を取りやがって、わたしがデューク東郷だったら、秋の気配にむかってぶっ放してるところだよ。
午後はソファのクッションを背にあてて寝そべり、甲子園の準決勝を横目で眺めつつ、胸のうえには赤ん坊をのせて、赤ん坊の背中で文庫本をひらき、読みながら、ウトウトして、おなじところを行ったり来たり。たまに机に重ねておいたビスケットをかじり、ぬるいコーヒーを啜る。なんだかすごく満ち足りており、こんなことしていていいのかなと思う。

風にそよぐ草 [DVD]

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ショッピングセンターの駐車場で財布を拾った初老の紳士ジョルジュは、持ち主の歯科医マルグリットの小型飛行機操縦免許の顔写真を見て恋におちる。財布を警察に届けたジョルジュは、後日、マルグリットからお礼の電話がかかってくると、礼よりも会うことを彼女に求めてしまう。しかし、彼女がその必要はないと断ると、彼は“がっかりだ”と電話を切ってしまう。こうして始まった二人の関係は意外な方向へと展開していく。

紙一重のところで狂っているひとたちが、ボタンを掛け違えていく(ジッパーがあがらない)なかで妙な調和を奏でる映画。タイトルの「風にそよぐ草」が何度も映像であらわれるのが、はじめは爽やかな印象なのにだんだんと不穏で淫靡なものにうつってくる不思議。わかろうとしてはいけない類の映画、つまり、よくわかりませんでした。