木曜にラジオをつけっぱなしでいたら、曽我部恵一がギターをかかえて雨の中ラジオ局にやってきて、電波のむこうでうたうのだった。春風ロンリーに春の嵐。曽我部恵一がギターにのせて春をうたうと、自分の中にはないはずのブルーの引き出しから、よそもののノスタルジーがわがもの顔でセンチメンタルを呼びさます。初恋なんてはっきりと覚えてもいないくせに、その気分だけが戻ってくる。
此処で待つ桜蘂降りしきるここ 池田澄子
もともと桜は散ったあとが好きだったけれど、この句を知ってもっともっと桜の散るのがたのしみになった。なにを待つわけでもないけれど、桜蘂の降るしきるところに今年は立ち会ってみよう。
- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2015/02/18
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背中一面に彫られた刺青から「人斬り夜叉」と呼ばれた、大阪・ミナミの伝説の男、修治は、女の為にヤクザから足を洗い、若狭湾に面した小さな港町で漁師となって妻子と暮らして15年。ある冬のこと、ミナミから螢子という女が流れてきて小さな居酒屋「螢」を開く。螢子の都会の刺激と香りに満ちた妖しい魅力に男の心が揺れ動く。しばらくして、螢子のヒモでシャブ中のヤクザ、矢島が現れる。矢島が漁師仲間たちを相手に覚醒剤を売っているのを知る。覚醒剤を処分した蛍子を矢島が追いかけ、修治が守る。螢子に矢島を助けてほしいと言われ、ミナミに。そして、修治の中の夜叉が蘇る…。
公開時の田中裕子は30歳。アイドルのような清純さがありながら、たいへんな凄みで、夜叉の彫り物からうつった顔はものすごいとしか言いようのない迫力。高倉健もいしだあゆみも北野武もそれぞれにハマリ役すぎてつまらないくらいだけれど、田中裕子が抜群の存在感で君臨している映画。