まみ めも

つむじまがりといわれます

忘れられた巨人

日が暮れるのが早くなって、遊歩道から西に向かって帰る道の向こうに透明な夕焼けが広がる。胸の奥に切ない気持ちがもりもりしてきて、チョコレートがおいしい。チョコレートは年中おいしいけれど、秋のチョコレートは格別で、ラミーをひとかけ、夕飯の支度をしながら舐めると、ラムが口の中にしみわたって、1日と秋が暮れていく感慨を味わう。今年は11月を待たずにヒートテックを着てしまった。もう秋も後戻りできないところまできている。

忘れられた巨人

忘れられた巨人

ト本。

老夫婦は息子との再会を信じて、長年暮らした村を後にする。さまざまな人々に出会いながら荒れ野を渡り、森を抜け、謎の霧に満ちた大地を旅するふたりを待つものとは…。失われた記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く。

久しぶりに「おはなし」を読んだと思った。きつねうどんのお揚げのようにどっぷりとおはなしの出汁にひたる。霧のように広がるひんやりしたさみしさの中で、老夫婦が体温だけのぬくもりで寄り添っている。暮れていく秋にぴったりのおはなしだった。