患者の事情

土曜は台風19号で一発日外に出られなかった。朝から湯を沸かしてポットに詰めたり、おにぎりを作ったり、パンを焼いたり、カレーを保温鍋にあたためたり、とにかく停電に備えておく。暇つぶしにAmazonプライムでゴーストバスターズとミッション・インポッシブルを見ながらうとうとした。夕暮れから雨風が強くなり、一時は吹き荒れて嵐になったけれど、たいしたことは起こらずにすんだ。一階のトイレがこぽこぽいっていたくらい。朝一番で雨戸を開け放したら、爽やかな風にのって金木犀はにおうし、鳥がちゅんちゅん騒いでおり、モノクロームからフルカラーの世界にやってきたような別世界ぶり。金木犀がにおうということは、副鼻腔炎もだいぶよくなったらしい。図書館にでかけたら、昼まで休みで出直し。低いところの家が浸水したらしく畳を表に出していた。近くの小学校のグラウンドが池のようになっていて驚いたが、グラウンドに水を溜めて川の増水を抑える仕組みになっているらしく昼すぎにでかけたら同じグラウンドでもうサッカーボールを蹴っていた。気温があがり、風が強い。スカートが何度もめくれてうっとうしい。

カレーではや夜を済ませてスコットランド戦の応援。がつんがつんぶつかりながらなかなか前に行けない展開がもどかしく前のめりになってしまう。スコットランドのスクラムハーフかっこよかった。

短編アンソロジー 患者の事情 (集英社文庫)

ト。

彼女の冷蔵庫　山本 文緒
顔面崩壊　筒井 康隆
パンツをはいたウルトラマン　椎名 誠
買物　北 杜夫
くだんのはは　小松 左京
庖丁ざむらい　白石 一郎
跛行の剣　隆 慶一郎
シリコン　久坂部 羊
特殊治療　藤田 宜永
共犯者　遠藤 周作
長い夜　馳 星周
病は気から　氷室 冴子
怪物　三島 由紀夫
薔薇連想　渡辺 淳一

ガッツリしたものを読める気がしないのでついアンソロジーに手を出してしまう。筒井康隆さすが、三島由紀夫さすが。

喪失学

iPhoneをことあるごとに落っことしたり、雑に扱っていたらついにいかれてきたようで、辺縁部のタッチがきかなくなってしまった。いろいろ不自由はありながらあの手この手でごまかしながら使い続けている。肝が小さいので、スマホ機種の値段を見るとびびってしまってなかなか買う気になれない。機種もよくわからないしどれもものすごくハイテクなマシーンに見える。もっと安くてちゃちくておもちゃみたいなスマホはないもんだろうか。何万円もするものを携帯したくないのが本音。

和田誠の家族のコメントが、いちいちよくて、メモっとこ。

平野レミ
「肺炎を患ってからはご飯を食べられなかったので、和田さんが好きなご飯をたくさん作って、安らかな顔の横に置いてあげました。最後の料理を作っている時はすごく幸せで、『私にとっての一番の幸せは、和田さんにご飯を作ることだったんだ』とあらためて気付きました。47年間、私の料理を美味しい美味しいって食べてくれて、本当にありがとう。安らかにね」

和田唱

親父が天国へ旅立った。最近は日々具合が悪くなっていったから、どこかで覚悟はしていたけれど、同時に奇跡が起きることも願っていた。でもそれは叶わなかった。今思えば、きっと、親父なりにベストなタイミングでの旅立ちだったんだろう。親父はキャンプとか釣りとかスポーツとは無縁で、その辺のことは一切教えてくれなかった。お陰で俺はインドア派だし、スポーツのルールも大体知らない。でも親父は映画を教えてくれた。ジャズを教えてくれた。ルールに縛られないこと、好きなものは好きでいいこと、自分がこうだと思ったら貫くことを教えてくれた。お陰で俺は幸せな人間だ。だから明るくサヨナラをしたい。それが和田家流だ。でも魂は死なないし、心にその人がいる限り、どのみちサヨナラなんてない。肉体的なしばしの別れに過ぎないから、「おとう、またな！」くらいにしておこう。でもThank YouとI Love Youは添えておくよ。 唱

喪失学 「ロス後」をどう生きるか? (光文社新書)

ト。

家族、友人、ペット、健康、時間、夢や希望、そして自分の命…。命ある限り生じる「喪失」といかに向き合っていくべきか。死生学や心理学の理論、当事者の声、グリーフケアの実践から、来るべき喪失に備える。ワークも収録。

 ロスることはどうしようもなさそうで、いよいよさが増すにしたがって、やれることのなさが際立ち、本になぐさめてもらう。持っていないものはなくせない、という一文にはっとする。

カリートの道

２月にパーマをあててからもさもさと伸び放題になってひとつにまとめるしかなくなっていた髪をやっと切った。伸びきった前髪にあわせてワンレングスに耳の下でそろえてもらう。パーマの残ったうねりもなくなった。西陽を背にしたときに、のびる影のシルエットをみても気持ちがすっぱりする。ワンレングスの似合う年齢になったことが少しくすぐったい。切りそろえた頭を見てふーたんが親指を立ててグーをしてくれた。そのあとあたらしくできたカフェに寄って、冷やしカフェラテとチョコレートのテリーヌ、ふーたんは冷やしミルクとプリンでお茶をした。夜は早めにお風呂とごはん、食器を食洗機に放り込んで、グリーンラベルとぶどうジュースで乾杯し、こどもたちはグミ、こちらはミックスナッツをつまんでサモア戦の応援をした。リーチ・マイケルのプレーが胸アツ。ふくちゃんは姫野和樹とラファエレ・ティモシーがいいという。

カリートの道 (字幕版)

 プ。

かつて街を牛耳り麻薬の帝王として君臨したカリートが刑務所から帰って来て見たものは、以前には闇の世界にもあった仁義やルールが時の流れと共に姿を消し、今や殺伐とした雰囲気に変貌していた街の姿だった。今度帰ってきたら待っていてくれた恋人との純粋な愛に生きようと思っていた彼は、そんな街からは出ていくことを心に決めていたが、彼にはどうしても返さなければいけない1つの“借り”があった……。

アル・パチーノとショーン・ペンに監督はブライアン・デ・パルマ。ショーン・ペンの禿げ頭に最初誰なのかわからなかった。でもラリってるショーン・ペンはさすがで、ボートの上のシーンでは、やったらあかんと思うことをしっかりやっていい仕事をしているとしかいいようがない。

フィフティ・ピープル

土曜の午後は運動会を引き上げて、ぐずるげんちゃんを抱いたままソファでうたた寝、夕方はアイルランド戦を見て盛り上がり、夕飯はジュースとグリーンラベルで乾杯し餃子を食べた。げんちゃんは熱が続いたあとで咳がひどくなり喉がごろごろいっている。月曜にお医者にみてもらったところ、ワクチンの副反応ではなくRSウイルスかもしれない、まだ四ヶ月なので注意して、呼吸が変わったりチアノーゼがでたりおっぱいが飲めない様子があったら再受診といわれる。熱はやっとさがったけれど、まだ咳き込んでくるしそう。ふーたんも咳が長引いて、週末から湿疹が顔やひざの裏に広がっている。こちらは副鼻腔炎がまだ治らないで、世界からおいてけぼりをくらったまま、みんなうっすらと不具合をかかえている。セイちゃんとふくちゃんは、月曜が振替休日でお友だちに誘われ、食品サンプルを作ってきた。カレーライスとラーメン、それぞれに好物を選んで作ってきたのをみせてもらう。火曜日はまた弁当がいるというので、六時に起きてごはんを炊いて、蒸し鶏とフライドオニオンをのせたジーロウファン、たまご焼き、人参とさつまいもの甘いソテー、ブロッコリー。ずるずると父のお見舞いにいけずにいるが、このごろはすこし病状がおちついているらしい。

フィフティ・ピープル (となりの国のものがたり1)

ト。

ガンで余命宣告を受けた母に結婚を急かされるスジョン。血みどろの手術に嬉々として挑む医師ギユン…。死と痛みと悲しみ、回復と再生の物語がすれ違い、交錯する。韓国文学をリードする若手作家による、めくるめく連作短編集。

ソン・スジョン

イ・ギユン

クォン・ヘジョン

チョ・ヤンソン

キム・ソンジン

チェ・エソン

イム・デヨル

チャン・ユラ

イ・ファニ

ユ・チェウォン

ブリタ・フンゲン

ムン・ウナム

ハン・スンジョ

カン・ハニョン

キム・ヒョッキョン

ペ・ユンナ

イ・ホ

ムン・ヨンニン

チョ・ヒラク

キム・イジン

ソ・ジンゴン

クォン・ナウン

ホン・ウソプ

チョン・ジソン

オ・ジョンビン

キム・インジ オ・スジ パク・ヒョンジ

コン・ウニョン

スティーブ・コティアン

キム・ハンナ

パク・イサク

チ・ヒョン

チェ・デファン

ヤン・ヘリョン

ナム・セフン

イ・ソラ

ハン・ギュイク

ユン・チャンミン

ファン・ジュリ

イム・チャンボク

キム・シチョル

イ・スギョン

ソ・ヨンモ

イ・ドンヨル

チ・ヨンジ

ハ・ゲボム

パン・スンファ

チョン・ダウン

コ・ベキ

ソ・ヒョンジェ

そして、みんなが

 実は５１人、主人公のいない群像劇。

ミッション

金曜日はフル回転、ふーたんを送ってから週末のお弁当の買い出し、おかずをいくつかこしらえておく。人参とさつまいもを甘くソテーし、たまご四つで甘くした玉子焼き、切り干し大根と油揚げの煮もの。夕飯のカレーライスも仕込んでおく。げんちゃんの予防接種が三本、それからふーたんの風邪がうつったあとしばらく鼻水がのどに落ちる感じが続くので耳鼻科に行くと案の定副鼻腔炎だった。顔の奥の痛みがくる前に副鼻腔炎がわかるようになってしまった。セフカペンピボキシル塩酸塩錠１００m g「トーワ」を処方してもらう。金曜の夜にげんちゃんがひどくぐずってアツアツになり、どうやら肺炎球菌ワクチンの副反応が出たらしく、注射したところがあかく腫れ上がっている。朝、弁当を詰めて送り出し、小児科で診察をすませ、運動会に合流してみたけれど、暑さでげんちゃんの熱が３８.６度まであがったので、かけっこだけ見て引き上げた。こどもの数が多くてわが子をなかなか見つけられない。姿を見つけたときには走り終わっていた。お弁当は、リクエストをきいて、海苔弁にもも肉の照り焼き、人参とさつまいものソテー、玉子焼き、ブロッコリー、切り干し大根の煮もの、渋皮煮をひとつぶ。

ミッション HDニューマスター版 [DVD]

プ。いつぞやの。

18世紀中頃の中南米。ガブリエル神父が開いたミッションに、奴隷商人のメンドーサが弟を殺した罪を負ってミッションへやってくる。彼はかつて奴隷として扱っていた人々に励まされ、彼等と共に暮らし始めるが…。出演はロバート・デ・ニーロ、ジェレミー・アイアンズほか。

デ・ニーロが画面にうつるとぐっと映画になる。このころは四十歳前後。

セックスボランティア

また廉売になっていた栗に手を出してしまった。今度は圧力鍋ですこしだけ火を入れてから鬼皮をむくアプローチ。いくつか渋皮も剥いてしまう。ちょっとしたことを丁寧にやれないので、栗の渋皮煮なんてとても手に負える代物ではないはずなのに、栗を見かけるとむらむらして手を出してしまうのだからおそろしい。重曹で３回、それから１回ゆでこぼして、水あめと上白糖で煮た。今回もいまいちな予感しかしない、かくなるうえはブレンダー様にお出まししてもらいマロンペーストにしてやろう。

半年に一度の通院を前日にふとひらめいて思い出した。朝の混雑する時間帯に受付と採血を済ませて予約時間にいったらすぐ呼ばれ、診察は３分とかからない。のぞきこんだ検査結果はTSHが基準値に足りないLのアラートが数値の隣についている。イイカンジです、という医者の笑顔を鵜呑みにして半年後の予約を取ってもらった。いろいろ体には不具合があるけれど、加齢や出産や授乳のインパクトが強すぎて、持病による変化があっても気がつける気がしない。

セックスボランティア (新潮文庫)

ト。

障害者だってやっぱり、恋愛したい。性欲もある。その思いを満たすための「性の介助」の現実とは? 彼らの愛と性に迫るノンフィクションの意欲作。『週刊朝日』連載「週刊ノンフィクション劇場」をベースに追加取材、加筆。

 知らず知らず、自分のなかでタブーだったのだなということに改めて気づく。

チェンジリング

H&Mのネット通販でぺらぺらくたくたしたTシャツが５９９円なのをさらに２割引で買う。あさっての方向が透けて見えるような頼りなさがいい。リネンのシャツは着心地がいいけれど、げんちゃんの肌にあたりが強いので敬遠してしまう。こういうときはやっぱりコットン一択。H&Mの頼りないTシャツに頼りなくないユニクロのジーンズ、上下とも３色ずつあるので９通りだけれど、よそから見たら毎日同じ格好に見えるだろう。苦しゅうない、ちこうよらんでくれ。ちゃちなイヤリングは３２４円でちんまりした黄色い星が耳もとでちらちら揺れるのが気に入っている。

チェンジリング (字幕版)

プ。

1928年のロサンゼルスを舞台に、誘拐された息子の生還を祈る母親（アンジェリーナ・ジョリー）の闘いを描くクリント・イーストウッド監督によるサスペンスドラマ。息子は無事に警察に保護されるが、実の子でないと疑念を抱いた母親が、腐敗した警察に頼らずに自ら息子の行方を捜して行動を起こし、同時に市長や警察機構を告発する。共演にジョン・マルコビッチ。

あとからクリント・イーストウッドだと知って合点がいくような、ふちを覗きこむような映画。