初恋のきた道

初恋のきた道。チャン・ツィイーがかわいいという前評判は頂戴していたものの、ここまでチャン・ツィイーがスパークしているとは思わなかった。二の句が継げないくらいにチャン・ツィイーがかわいいとしか言いようがない。逆にいえば若さはじける天下無敵のチャン・ツィイーでなければ許されない映画といってもよい。きのこ餃子を風呂敷に包んで走って先生を追いかける場面なんか、こら絶対ころぶね、ころんでお皿は割れるし、髪飾りもなくしちゃうよ、とこちらが心配したことをドジっ子チャン・ツィイーがあり得ないかわいらしさでもって見事にすべてやってのけてくれる。綿入れをきてぷくぷく丸いシルエット、どたどたといかにも運動神経のよろしくないのがみてとれる走り方で、それがどうしようもなくキュート。想像から一歩も抜けださない定石展開ぶりがいかにも初恋していてよかった。個人的には、はじめて先生と会釈をかわしたあとのうれしすぎる背中の演技にぐっときた。走りだしたい、でも視線をかんじて走りだせないでいる、おさげ髪が肩ではずんで。恋しちゃってる感が画面いっぱいにこれでもかと溢れていてこっちが走りだしたくなるほどにむずむずした。
それで、究極のかわいさを炸裂させたチャン・ツィイーがゆくゆく婆さんになり、息子と差し向かいでくちゃくちゃ飯をくらいながら会話するあたりは、なまなましくてそれまたよかった。初恋だって歳をとる。