まみ めも

つむじまがりといわれます

あのエッセイこの随筆

土曜日、誕生日を祝ってもらう。駅の向こうのコージーコーナーまで出かけ、めいめい好きなケーキを選ぶ。モンブランと迷ったけれどいちごのナポレオンパイにする。戸棚に余っていたろうそくを3本たててハッピーバースデーを歌ってもらい、ろうそくの火をひと息に吹き消した。プレゼント、アニエスベーの花柄の中綿ジャケット。「初恋のきた道」のチャン・ツィイーみたいなダサさがたまらない。36歳。おしゃれになるよりはダサくなりたいという妙なバイアスの自意識からは一生逃れられないと思う。昼すぎ、図書館へでかけ、予約しておいた本を受け取る。
たましいのふたりごと 川上未映子穂村弘
恋と夏 ウィリアム・トレヴァー
アイスクリーム・ドリーム 岩瀬成子
私は存在が空気 中田永一

あのエッセイこの随筆

あのエッセイこの随筆

いつかのブ本。値札シールは105円。本棚から引っ張り出して読む。

猫のこと、古本のこと、旅や散歩のこと、ご飯のこと…。無為の時間の中に心を遊ばせ、日々の暮らしの中に日だまりのような時間を見つけたエッセイ集。『週刊小説』に連載されたものを単行本化。

川本三郎が随筆やエッセイを題材に書いたエッセイで、川本さんのふだん着の日常にお邪魔させてもらう。「文人と図書館」「男の焚き火」「電車のなかの読書」「猫のいる幸せ」「文人と相撲」「ご飯好き」と、目次を眺めるだけでご飯をおかわりできそうなラインナップ。「随筆はのんびりしていればいるほどいい」と川本三郎が言うだけあって、そぞろ歩きのスピードでのんびり読ませてもらう。
鎌倉の山の家には、リビングにおおきなファシアノスの絵がかかっていて、その絵の前に立つといつも心のなかに風が吹き抜けるような新しさがある。絵は、義母の血縁にあたるレイコさんがやっているガレリア・グラフィカで選んだもの。川本さんもガレリア・グラフィカに立ち寄り、版画を何点か買っているのを「画廊を歩いて美術のなかへ」で知ってうれしくなった。