まみ めも

つむじまがりといわれます

真夜中のカーボーイ

真夜中のカーボーイ (2枚組特別編) [DVD]
お医者から出産秒読みを告げられた週末、三週間ぶりで筈氏が来た。前回の妊娠期間からかんがえると、すわ出産かという気運も高まったが、うまれなかった。土曜は航空プラザで飛行機をながめ、日曜は動物園にでかけた。息子氏はゴリラをみたかったらしいが、ちかくの動物園にはチンパンジーとオランウータンしかいないのだった。それでもよほどたのしかったらしく、帰りの車に乗っけてからもしばらくいやいやをして泣いた。家に帰ってから、きりんさんは?と尋ねると、ごくごく(水を飲んでいた)、ライオンさんは?と訊くと、ねんね、とこたえる。ごくごくでもねんねでもない動物たちは一様に、ごあん(ごはん)にされていた。動物園にむかう道中カーステレオから流れた曲をきいて、筈氏が真夜中のカーボーイの曲だという。アンジェリーナ・ジョリーの父親がでている映画。みてご覧というので、つたやで探して借りる。

N.Y.で富と名声を得ようとテキサスから来たカウボーイ姿の男の挫折と孤独、希望を描いたアメリカンニューシネマの代表作。肺を病み足の不自由なラッツォと友情を育むが…。

つたやで五本借りたなかで、これが一番気にいったので、五本全部見終わったあとでもういっぺん再生。一度めより二度めのほうがぐっときた。ジョン・ヴォイトダスティン・ホフマンがふたりしてとことん情けないのだが、でくの坊とちんちくりん、性格も動きも対比的でおもしろい。タイトルがカウボーイではなくカーボーイというのは、当時配給会社にいた水野晴郎氏のアイデアらしいが、音にしたときのカーボーイという少し間の抜けた具合は「おバカさん」なジョーの雰囲気、ラストのフロリダの太陽のしたでの虚脱感にしっくりしていてよいなあと思う。エブリバディズトーキンという渇いた歌が耳から離れない。漏らした小便も、汗も、涙も、フロリダの渇いた砂浜に吸いこまれて、サンシャインとココナツミルクがあり、そのほかのことはなんにもなかったみたいな知らん顔をしている南国。ぽっかりとかなしい。