まみ めも

つむじまがりといわれます

人間みな病気

三連休は鎌倉にでかけた。一日目の夕方、ロッキングソファで宿六氏に抱かれてうとうとしたセイちゃんのからだがみるみる熱くなり、九度ちかくまで熱があがってしまった。翌朝には平熱に復したが、外は暑熱の夏、大事をとって家ですごすことにした。家は山のてっぺんにあるので、ベランダにでると木立の向こうに海と伊豆半島がみえる。洗濯物を干しにベランダにでたら、山を通る風がびゅうびゅうして、洗濯物を吹き飛ばしかねないようなのを、セイちゃんはおおいによろこんできゃあきゃあ駆け回る。双眼鏡を渡されて覗き込んだら、海に浮かぶヨット、空をとんでいくヒコーキ、肉眼ではちんまりしたのがわっと近くみえるおもしろさ、双眼鏡の視界にはいるように見つけだすのも無邪気なたのしみで、思わずはしゃいでしまった。庭の壺にはおたまじゃくしが孵り、尻尾の残っている蛙が泳いでいた。

人間みな病気 (福武文庫)

人間みな病気 (福武文庫)

内田春菊/田中静子14歳の初恋
谷崎潤一郎/恐怖
大槻ケンジ/屋上
横光利一/盲腸
遠藤周作/役たたず
内田百聞/掻痒記
色川武大/したいことはできなくて
坂口安吾/精神病覚え書
内田春菊/今月の困ったちゃん
葛西善蔵/奇病患者
秋元松代/ちぐはぐな話
筒井康隆/ポルノ惑星のサルモネラ人間
島田雅彦/未確認尾行物体
ヒャッケン先生の掻痒記はさすがのひと言。皮膚病の話というのは、視覚的なものを想起させて食欲のうせるようになるのが常だけれど、もちろん自分の肌にもぶつぶつが出てきそうな具合でむずむずするのに、とことんおもしろく、ヒャッケン先生がぶつぶつの頭を女中に変形するほど容赦なくひっぱたかれる場面なんかは読んでいて妙な爽快感があったりする。床屋にいってうじうじ悩んだりする小物ぶりもいかにもという感じで、うれしくなってしまった。あとは、内田春菊の静子の話がものすごくて、こえーこえーとびびりながら読んだ。