まみ めも

つむじまがりといわれます

恐怖特急

乗り換え駅で踊る赤と黒のエロサスエロミス、その字面を眺めていたら、ミステリーを読むならいましかなかろうという気分に俄然なってきて、本棚からひっぱりだしてきた。ブックオフの105円の値札シールが貼ってある。

恐怖特急 (集英社文庫)

恐怖特急 (集英社文庫)

「昆虫図」久生十蘭
「文字禍」中島敦
「怖い贈り物」結城昌治
大望ある乗客」中井英夫
「二癈人」江戸川乱歩
「人の顔」夢野久作
「死の倒影」大下宇陀児
「箱の中のあなた」山川方夫
「探偵電子計算機」谷川俊太郎
「乗越駅の刑罰」筒井康隆
「エナメルの靴」佐野洋
「庭」森内俊雄
「はだか川心中」都築道夫
「波の音」城昌幸
「死んだ兵隊さん」吉行淳之介
「磨く男」黒井千次
「剃刀」志賀直哉
「影」内田百間
「顔」半村良
「蜘蛛の巣」生島治郎
「無邪気な女」阿刀田高
「さようなら」 山田風太郎
ここに選んだ作品は楽しく、恐ろしく、小説を読む醍醐味を充分に賞味していただけるものと思っている。――阿刀田高
おもしろくないはずがないラインナップ。存分に堪能さしてもらった。昆虫図、文字禍、人の顔、剃刀は再読。久生十蘭夢野久作江戸川乱歩の陰湿さったらないな。筒井康隆はぶっとんでるけどそんなに腐臭をともなわない。梅雨明け前に読んだら、じっとり湿気でうねうねした髪がまつわりついてくるようないやらしさでもってこちらを息苦しくする。梅雨の空気の密度が倍増する。音楽も陰湿なものがききたくて、EBTGやMassive Attackをイヤホンから流す。陰気をとことん演出しているうちに、梅雨はどこかにいってしまった。