まみ めも

つむじまがりといわれます

ヘッドライト

ふたつの実家から食材が届き、冷蔵庫が満載になった。大根キャベツ、レタスにトマトにクレソンにほうれん草、イタリアンパセリ、ディル、セロリ、人参牛蒡蓮根菜の花、キウイにデコポン、めかぶにわかめ、餃子に肉まん、メロンパン。とりあえずピクルスを漬けて、めかぶにわかめをゆがき、いたみやすい葉物からとほうれん草とトマトをカレーにし、キャベツのサラダ、クレソンを鍋いっぱいのポタージュにしたが、今朝になってたけのこが三本、とどめをさすように送られてきた。台所でせわしなくやりながら、俵万智が三十一文字にうたう野菜を思い出す。レタスはわっとはみ出し、白菜はうっふんうっふん、勝手に赤い畑のトマト。

ヘッドライト [DVD]

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原題は“DES GENS SANS IMPORTANCE(取るに足らない人びと)“、ところどころに鉄道が出てきたところからし川本三郎の鉄道本にでてきたのかもしれない。図書館で予約。長距離トラック運転手の中年男ジャンと男が立ち寄る定宿の若い女給クロチルドとのメロドラマ。原題のとおり、巷にありふれたメロドラマのいかにもありふれた展開で、もはやボロ雑巾のように使い古しの内容。パッケージ裏のあらすじを読みながら、フランス映画のモノクロームで、倦怠にやられてねむくなるのではと思ったが、なんのなんのの完成度。鏡ごしの会話、うつくしい音楽、流れるヘッドライト。原題もいいが、邦題もいい。凡庸な人生に胸いっぱいの悲哀とときめき。心ふるわす主題曲の旋律はテルミン系統の電子楽器オンド・マルトノとのこと。
監督はアンリ・ヴェルヌイユ、音楽はジョセフ・コズマ、おっぱいのツンとしたクロチルド役はフランソワーズ・アルヌール。