土曜の夕飯は手巻き寿司。鯛にさわら、いか、甘えびはひとり一尾ずつ、の刺身を近くの秋山という魚屋で買ってきて、あとは胡瓜とかにかまのサラダ、たくあん、シーチキン、玉子焼き、しそ梅、大葉、ひきわりの納豆。お刺身が相変わらずおいしくないので(ためしに何切れか食べてみたら、リッチな味ということだけがわかりながらおいしくないので損をした気になる)、しそ梅やたくあんばかり食べた。風がなく雨も降らないので、裏の八丁川へ蛍狩りに出る。三日月がだいだい色で西の空に浮かんでいる。気温はあまり高くなく、涼しいくらいだったが、川沿いを歩くうちに蛍が少しずつ数を増して、橋の上から眺めると何十という数の蛍が呼吸するように光っていた。この夏いちばんの数で、久しぶりにこれだけの蛍をみた。ふわふわと飛んできた蛍に手を差し出すと、蛍光グリーンにてのひらが光る。おなじリズムで胸がとくとくしそうだった。
アカデミー賞―オスカーをめぐる26のエピソード (中公新書)
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- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1990/03
- メディア: 新書
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