まみ めも

つむじまがりといわれます

小さなユリと

鍋にたっぷりのカレーを煮る火曜日。
グレーテルのかまど」が好きで、録画してみている。ゴッドファーザーのカンノーリに続いて沢村貞子の大学芋。どちらも再放送。沢村貞子の大学芋の回は、15代目ヘンゼル役の瀬戸康史くんが芋好きにつきテンションがあがり、声まででかくなっていてかわいい。芋を持ってってやりたい。沢村貞子の大学芋は、芋一本を三等分に大きく切るもので、ものすごい迫力。晩年、連れ合いを亡くしたあとになって出てきた手紙に、しあわせだった、とあるのを読んで、「一人だけ、幸せにしたのよね」と涙ぐむ沢村貞子がものすごくかわいらしくて、これまではすじを通す厳しいおばあさんと思っていた印象がすっかり変わってしまった。
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ト本。岡崎武志さんの日記で知って予約したけれど、いつのまにか日記の更新がおわってしまった。

歩いているうちに 歩いていることだけが僕のすべてになる 小さなユリと手をつないで(「小さなあまりにも小さな」より) 父と娘のささやかな日々を詠んだ、半世紀以上前に刊行された歴史的な詩集を完全復刻。

妻が結核で療養しているあいだの、ささやかな父娘の日々を綴ったちいさな詩集。大変な日々だったに違いないけれど、
僕のまわりを/すべては無声映画のように流れてゆく/両国の川開き/徳球北京に死す/砂川の強制測量開始/台風二二号北進/すべては/無言で流れ去るばかりだ(「小さなあまりにも小さな」)
というところは、父と娘が寄り添って、どこまでも世界と断絶して暮らしているやわらかさに満ちていて、こうやって世界と無関係でいられることを、しあわせと呼んでよさそうな気がする。小学生のユリちゃんが描いたという表紙の絵がとてもいい。解説は荻原魚雷。ちなみに、荻原魚雷の荻原は「おぎわら」「はぎわら」ではなく「おぎはら」。